グリーン水素製造を年間5GW規模に拡大:ドイツ連邦教育研究省助成による3つの水素関連プロジェクトを実施

2021年10月8日

 

ティッセンクルップは、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)が進めるドイツにおける水素社会の実現に向けた水素プロジェクト :エネルギー転換に関する過去最大規模の研究イニシアチブについて、3つのプロジェクト全てに参画し、工業規模のグリーン水素製造やグリーン水素の利用およびシステムの統合についての実証を進めることになりました。

 

ティッセンクルップは2025年までの4年間で、大規模アルカリ水電解プラントの連続製造(H2Gigaプロジェクト)、海上での合成燃料、グリーンアンモニア、グリーンメタノール、合成メタンの製造(H2Mareプロジェクト)、水素輸送およびアンモニア分解などの転換技術 (TransHyDEプロジェクト)の実証事業を行い、グリーンケミカルのバリューチェーン全体における取り組みをさらに拡大してまいります。これらの旗艦プロジェクトはドイツ全土の科学、産業、社会における水素技術の英知を結集し、工業規模での水素ソリューションの開発、構想設計、および実装の先陣を切るものです。

 

H2Gigaプロジェクト:
ギガワット規模の自動化生産に向けたアルカリ水電解技術のスケールアップ実証

 


2Gigaプロジェクトでは、BMBFより約850万ユーロ(約11.3億円)の助成を受け、アルカリ水電解技術による大規模水素製造の研究開発を実施します。このプロジェクトではスケールメリットを利用した製造コストの削減を目的としています。今後の生産能力の拡大によって、毎年複数のギガワット規模のプロジェクトを同時に実施することが可能となります。

 

ティッセンクルップCEO 、マルティナ・メルツ: 「水素プロジェクトの規模は、この数か月で数百メガワットからギガワットへ大幅に拡大してきており、これは大規模かつ自動化による連続生産に対する市場ニーズに応えるものです。このような大規模プロジェクトでは、単にスケールアップをするだけではなく、大胆な取り組みが必要であり、本プロジェクトのフレームワークの中で段階的に開発、実証、最適化を行ってまいります。」また現在当社では、全く新しいスタックとセルによる次世代のアルカリ水電解の開発や、工業用の連続生産に必要なサプライチェーンの最適化設計の実装にも注力しており、製造・組立工程に関しては、ロボット工学および自動化技術によって最適化を図っています。

 

当社が主導するH2Gigaプロジェクト「INSTALL AWE(アルカリ水電解技術の導入)」では、アルカリ水電解技術の工業化に焦点を当てています。アルカリ水電解は、工業用途に適した電解での水素製造方法であり、現在大規模製造において最も商用利用の準備が進んでいる技術です。当社が提供する20メガワットの標準モジュールは、経済性および気候保護の観点からも利点があります。さらにコンパクト構造の PEM電解槽とは対照的に、シングルエレメント構造のアルカリ水電解槽は、スタック全体を交換することなく個々のセルでのメンテナンス作業が可能であることから、リソースの節約と運用コストの削減が期待できます。

 

 

この連続生産の強化に不可欠なのが、電解セルの生産と高品質なコーティング技術において世界有数のサプライヤーであるIndustrie De Nora社 (デノラ)との協力体制です。デノラ社と構築した完全統合化されたワークフロー、ギガワット規模の電解セルのサプライチェーン、および両社が保有するグローバルなサービス拠点は、今後の開発において強力な基盤となります。H2Gigaプロジェクトでは、長年のパートナー企業であるデノラ社やHoedtke社、その他化学系企業の他、研究機関、大学、小規模専門事業者との新しい形での協力体制のもと、より広範な研究開発を実施することができます。このような協力体制において進められるH2Gigaプロジェクトでは、ティッセンクルップが水素ビジネスに関してさらに発展していくための広範囲な研究開発の調査も実施されます。

水素旗艦プロジェクト:


2021年春に開始されたドイツ連邦教育研究省の助成(法的拘束力のないファンド)による水素に関する旗艦プロジェクトで、240以上の機関や産業界が参加している。プロジェクト全体の投資額は約7億4000万ユーロ(約980億円)。詳細はこちらを参照ください。wasserstoff-leitprojekte.de.

Email: asuka.samuraizono@thyssenkrupp.com

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