未来のソリューション

革新的な未来

私たちの目指す社会の実現の為には、今日提供されているソリューションでは十分ではありません。私たちは、エネルギー転換と脱炭素社会をこれまでとは全く異なるスピードで実現することが可能であると考えています。だからこそ、私たちは変革に取り組み、進化を続け、常に明日の問題を解決するソリューションを模索しています。当社は、パートナー、他の産業界、同じ志を持つ諸外国と共にエネルギー転換と脱炭素社会の実現を目指します。

SOEC Test Facility

SOEC技術の出発点

当社は、電解技術において50年以上の経験を有し、ギガワット規模のグリーン水素製造技術における世界屈指のサプライヤーです。当社は常に革新的なソリューションを開発しており、固体酸化物電解セル(SOEC)は投資に値する有望な電解技術と考えています。

セラミック技術の専門企業で、25年以上SOEC分野に携わるフラウンホーファーIKTSは、経済的実現可能性調査を含む材料から実現可能性調査に至るまで、バリューチェーン全体にわたる包括的な専門知識を有しています。SOECの商用化のため、当社はフラウンホーファーIKTSと戦略的な研究開発のパートナーシップを締結し、SOEC技術の大規模な商用化を目指しています。

私たちの活動

現在、SOEC技術を用いたグリーン水素製造は、ラボや小規模利用に限られおり、工業規模での高温電解技術の開発は初期段階にあります。フラウンホーファーIKTSが計画し、thyssenkrupp nucera HTE (SOEC技術開発のためアルンシュタットに設立した新会社)が運営するパイロット製造工場は2025年前半に稼働し、SOECスタックの中核要素であるSOEセルを備えた高温電解スタックの少量製造を開始します。この戦略的パートナーシップには、フラウンホーファーIKTSのSOEC技術に基づく、クロムベースの合金スタックの製造および使用に関するライセンス契約も含まれています。当社のパイロット製造工場では、フラウンフォーファーIKTSと強みを結集しながら協業することで、SOEC技術の商用化を進めています。

ティッセンクルップ・ニューセラの目指すこと

SOEC技術の効率を検証するための試験施設では、廃熱を利用して電解スタック内で電力を水素に変換する技術の効率を検証することに焦点を当てて取り組んでいます。実用化実験や経済的な観点からの実現可能性調査を通じて、SOEC技術の最適化を進めています。これにより商用で求められる高い運用基準を満たした大規模製造を実現することができます。この協業により、既存の産業プロセスにシームレスに統合できるソリューションを開発することが可能となります。初期の産業応用のための開発が成功し資金が確保できれば、大規模製造インフラの開発に投資する予定です。SOECは当社の事業ポートフォリオを補完する重要な技術であり、将来の脱炭素化に貢献することができます。

Carbon2Chem

プロジェクトの着想

製鉄所からの排出ガスを燃料、プラスチック、肥料などといった貴重な化学品の前駆体に転換するにはどのような方法があるでしょうか。年間2,000万トンもの二酸化炭素を排出するドイツの鉄鋼業界を経済的に存立可能にするにはどうすればよいでしょうか。

二酸化炭素の他、銑鋼一貫製鉄所からの排出ガスには、一酸化炭素、水素、メタン、および大量の窒素が含まれていますが、それらは一般的に天然ガスや原油などの化石資源から生成され、化学産業で使われる合成ガスの組成と同じものです。製鉄所からの排ガス、特にコークス炉からの排出ガスには大量の水素が含まれていますが、化学合成に利用するには更なる水素が必要です。

プロジェクトの取り組み

当社がドイツ、デュースブルクで保有する試験設備は、個々の技術を統合し、製鉄所からの排出ガスを使用して実際の工業的運転条件のもと試験が行われている世界で唯一の設備です。 Carbon2Chem®プロジェクトでは、製鉄所からの排出ガスを初めて化学品原料として使用しています。

 

さらに、追加分として製造される二酸化炭素を排出しない水素は、グリーンである必要があり、再生可能エネルギーを用いた電気分解によって製造されます。*

 

そのため、このパイロットプラントの初期段階から当社の2MWのアルカリ水電解プラントが設置されています。このアルカリ水電解プラントは、変動のない定格運転、および一次電力の電力市場に基づく急速な負荷変動を伴う運転にも対応できるため、風力や太陽光などの再生可能エネルギーの不安定性を考慮した運転が可能です。

プロジェクトが目指すもの

当社が産業およびアカデミックパートナーと設立したコンソーシアムでは、ガス精製、アンモニア、メタノール、高級アルコールの製造プロセスに協力して取り組んでいます。現在取り組んでいる第二フェーズでは、更なる検証を進めている技術プロセスを基に、様々な産業への展開を図るとともに、2025年から工業化に向けたスケールアップを進めます。

 

さらに、当社のアルカリ水電解技術は、継続的な全負荷運転において非常に優れたパフォーマンスを発揮するだけでなく、供給量変動のある再生可能エネルギーの特性にも対応可能であることが実証されています。これはプロジェクトそのものの成功に留まらず、計画的なエネルギー転換の実現にも大きな意義を持っています。再生可能エネルギーを用いた電気分解による持続可能な水素製造は可能であり、十分な再生可能エネルギーが利用可能である場合には、製造して貯蔵することができます。一方、エネルギーが不足する場合には、貯蔵された水素が使用できるため、当社のアルカリ水電解プラントは、理想的な工業規模の化学プロセスの上流設備となり得ます。

 

*Carbon2Chemプロジェクトではグリーン電力購入契約はしておりません。

H2Giga

プロジェクトの着想

ドイツ国内のグリーン水素の需要は、将来どれくらい高まるでしょうか。需要予測はまだ難しいものの、数百万トン規模の水素が必要になると見られています。その需要に応える為、現在当社はH2Gigaプロジェクトに参画しています。この水素旗艦プロジェクトは、エネルギー転換に関する過去最大規模の研究活動であり、ドイツ連邦教育研究省(BMBF)による助成を受けています。

プロジェクトの取り組み

「INSTALL AWE」とも呼ばれるH2Gigaプロジェクトでは、アルカリ水電解の工業化に焦点を当てています。これは、今日最も開発が進んでいる商業化された技術であり、とりわけ大規模工業用途で使用されています。当社のモジュラー化および標準化された20MWユニットは、経済性と環境保全の観点からも優位性があります。

 

当社のアルカリ水電解技術は資源の節約と運用コスト削減に貢献します。この設備による連続生産に不可欠なのが、世界的な電気化学業界のスペシャリストであり、高品質な電解槽とコーティングのサプライヤーとしても知られる、当社合弁パートナーのIndustrie De Nora社との緊密な協力関係です。

 

一連の生産における課題に対して、科学的および技術的知見を有する研究機関、大学、小規模専門企業が在籍するH2 Gigaイノベーションプールでは、より広範な研究開発関連の調査が行われており、これは我々の更なる技術開発にも活かされます。

 

当社は、約850万ユーロの助成金を基に、アルカリ水電解技術による大規模水素製造の研究開発を実施します。

プロジェクトが目指すもの

当社は、自動化された連続生産によりアルカリ水電解技術の工業化を推進するとともに、大規模化による製造コスト削減を目指しています。また、既存の電解槽生産能力を1GWから5GWへ拡大することで、毎年ギガワット規模のプロジェクトを複数同時に実施することが可能になります。

ゲルストフォーフェン

試験施設

プロジェクトの着想

BM食塩電解および塩酸電解技術の継続的改善を確実にするため、当社ではゲルストホーフェン試験設備における試験を繰り返すことにより、自社技術の最適化を継続しています。また、同設備において特定のお客様間が抱える問題を再現し解決策を探り、この結果をお客様にフィードバックする取り組みを行っています。

プロジェクトの取り組み

当社は、ドイツ、ゲルストホーフェンにあるCABB社の工場敷地内に、商業生産規模のガス拡散電極式食塩電解および塩酸電解試験設備を各々二基、さらに、小生産規模ながら実機と同サイズのエレメントを装着したガス拡散電極式と従来型の食塩電解試験設備を各々二基保有しています。これらの設備では、特定の電力消費の実証などさらなる電解技術の向上実現のための開発を行っています。また、膜、コーティング、代替材料の検証に加え、異なる設計および運転条件の検証も行っています。ゲルストホーフェンでの検証結果は、商業規模であるかに関わらず、お客様の設備に直接還元することができます。

プロジェクトが目指すもの

当社の目指すものは、可能な限りの運転継続、耐用年数の長期化、および長期的な低消費電力の実現に向けた技術の最適化です。当社はこれまでも最先端の塩素製造技術を提供し続けていますが、今後もお客様に寄り添い、継続的な技術改善をお約束することで、当社ビジョンである塩素製造技術のナンバーワン企業であり続けることを目指します。

上部へスクロール